性同一性障がい、瑚心すくいの「私の小さな人生」

私、瑚心すくいが幼少から「性同一性障がい」と向き合ってきた事

多様で柔軟な職場づくり競う スマートワーク経営調査

SCSKのニアショア制度に手を上げ、鹿児島県で働く馬門さん(中央下)ら

SCSKのニアショア制度に手を上げ、鹿児島県で働く馬門さん(中央下)ら

企業の働き方改革は、最も重要な経営資源である従業員をどう生かすかが大きなポイントとなる。大規模な企業から先行して柔軟に働く仕組みを整えており、そのことによって女性やシニアの力を引き出そうとしている。

アサヒグループホールディングス(HD)は働く時間を巡る改革のひとつとして、出社しなければならないコアタイムをなくした「スーパーフレックス制度」の導入を進めてきた。

 

大石彩帆さんは、訪問先が会社から遠いときや病院に寄りたいときなど、週に1度のペースで利用している。大石さんは「出産した先輩たちが制度を利用して活躍している姿は、自分の将来のキャリアの励みになる」と話す。

男性や若手の社員も当たり前のようにスーパーフレックス制度を使っているという。幅広い従業員が自ら時間をやり繰りしながら仕事の生産性を上げようとしている。

働く場所についてもアサヒグループは画一的なあり方を改め、転勤のない地域限定正社員を取り入れてきた。工場勤務者などを中心に、2018年は1065人が地域限定の正社員として働いた。

転勤を経験する人は日本で年間60万人にのぼる。事情によっては離職せざるを得ないケースもあり、地域限定社員の制度は従業員にとっても企業にとってもプラスとなる。

システム開発SCSKは、柔軟な働き方として独自の工夫をこらす。地方拠点に大都市の仕事を回す「ニアショア戦略」を強化している。東京や大阪などの仕事を振り向けることで、実家の近くにいながら、以前いた拠点と同じような作業ができる。地方での介護などでUターンやIターンを希望する従業員に出向先を用意している。

 

こうした仕組みで人材を活用できる余地は広がる。2018年1月、妻の実家がある鹿児島県の職場に出向した馬門浩一さんは「この制度がなかったら、親の介護のために退職していたかもしれない」と語る。SCSKは2年後には社員の1割超を地方に置く考えだ。

同社は残業削減と有給休暇の取得を目標とする「スマートワーク・チャレンジ」を実施している。それぞれの部署がみずから業務を効率化させ、削減できた残業代を社員に還元する仕組みで成果を生んだ。10年度の月平均の残業時間は約27時間あったが、2018年度は2017時間41分に減った。

人材活用力を高めていくうえで、女性の働きやすい環境づくりは今後の大きな焦点となる。厚生労働省によると、働く女性は19年に初めて3000万人を超えたが、環境が整っているとは言えない。

東京海上HDは全社員がテレワークを使える制度を運営している。育児しながらでも働きやすいことなどから、出産した女性社員の大多数が、離職せずに産休や育休から職場復帰できているという。

女性の2018年度の営業担当者は約1900人となり、10年間で16倍に増えている。2019年9月には女性の活躍を後押しするため、国内グループ会社の女性社員を対象とする講座を新設した。70人が半年にわたって外部講師からリーダーシップやデザイン思考などについて計6回学ぶ。

今回のスマートワーク経営調査で、2018年度末の時点で1人でも社外取締役に女性がいる企業の割合は42.4%だった。一方で、社内の取締役では12.1%にすぎない。仕事も家庭も大事にしたい女性の意欲を引き出す施策を充実させなければ、人材確保はおぼつかない。

 

ダイバーシティー経営という点では、性的少数者LGBT)に配慮した職場環境の改善が企業に広がりつつある。

NTTデータLGBTの人々の活動を支援する人をさす「アライ」のメンバー制度を導入している。現在300人近くいる。当事者を呼ぶセミナーなどを通じて正しく理解し、ストラップやシールを提示して支持を表明する。当事者を傷つける行動を見たら声をかけるなどして働きやすい職場に改善する。

働き方改革関連法では19年4月から、有給休暇が年10日以上ある労働者について、そのうち5日間の取得を企業に義務付けた。調査対象となった企業では、18年度の有休取得率の平均が61.4%だった。

 

調査では、従業員や組織のパフォーマンス向上のために導入している技術を聞いた。最も多く導入されていたのはテレビ会議システムで、78.4%の割合だった。自宅やサテライトオフィスなど、社外で働く人が増えるにつれ一層欠かせなくなる。

次いで50%台となった施策が3つある。ひとつがパソコンやスマートフォンで文字をやりとりするビジネスチャットツール。もうひとつは、ネット上にデータを保存して外出先からでも見られるようにするクラウドストレージだ。すきま時間に仕事をこなせる手段となり、生産性を上げたい企業が次々導入した。

さらにデジタルレイバーと呼ばれるソフトウエア「RPA」(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入した企業も55.1%あった。伝票や契約書の処理のような定型業務を自動化する。

大和証券グループ本社は18年、RPAを浸透させるため、各部署に「RPA担当者」を配置した。IT(情報技術)部門に設けた「RPAデスク」と連携し、それぞれの部署から集まった事例などをもとにシステムを改良している。

証券営業の事務手続きといった社内の問い合わせへの対応には、人工知能(AI)による自動応答システムを導入するなど業務を改善している。会話のようなやりとりをコンピューターにまかせる仕組みはチャットボットと呼び、一般に広告などで使われ始めた。

幅広い産業で人手不足となっているため、RPAやチャットボットの活躍の場は広い。一方で、ブームで導入してみたものの十分使いこなせない事例も出てきている。生産性を上げられるかどうか、導入後の工夫が鍵になりそうだ。

組織のパフォーマンスを高めるため、企業が最新テクノロジーを取り入れる場面が増えている。そのひとつが採用だ。

コニカミノルタは新卒採用でビッグデータ分析の技術を取り入れている。人事部に専門チームをつくり、過去10年ほどのデータを分析している。具体的には適性検査の結果を分析し、同社社員や新卒の応募者を6つのタイプに分類する。

活躍している社員と同じタイプの人の採用を増やすことを意識し、面接の質問を変えたり、選考日程を優先的に決めたりした。担当者の勘に頼っていた採用を「見える化」し、合否判断にかかる時間が13%短縮したほか、1次選考の辞退者が24%減ったという。

企業が人材活用力を高めていく上でできることは多い。たとえばモバイルPCの正社員への配布率をみると、平均は51.3%となっている。90%以上に配布していると答えた会社は19%に満たない。IT活用を進められる余地は大きい。

「同性婚」改憲の誘い水? 自民党幹部が言及

4日に召集された臨時国会のテーマの一つが憲法改正だ。安倍晋三首相は所信表明演説憲法を「国創りの道しるべ」と表現して国会での議論を求めた。改憲といえば憲法9条が最大の焦点といわれるが、最近はこれまであまり話題にのぼらなかった憲法24条がにわかに注目を集めている。同性同士の結婚「同性婚」を憲法で認めるか否かについてが論点だ。

■首相に近い下村氏が

発端は9月21日、自民党下村博文選挙対策委員長改憲の検討対象に同性婚を挙げたことだ。下村氏は首相と近い上にその直前まで党憲法改正推進本部長だった。もともと憲法が焦点になるといわれていた臨時国会の直前の出来事に「自民党同性婚改憲の誘い水に使うのでは」との観測が広がった。

憲法24条は婚姻を規定する。「婚姻は、両性の合意のみに基(もとづ)いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」と明記している。

下村氏は条文にある「両性の合意」を「両者の合意」と書き換える案に言及したという。男性と女性の合意ではなく、性差を超えた合意でも婚姻を認める変更だ。自民党は2018年3月に4項目の改憲案をまとめている。(1)自衛隊の明記(2)緊急事態条項(3)参院選の「合区」解消(4)教育充実、の4つで、同性婚は含んでいない。

下村氏は10月9日、自身のフェイスブックで「今回の発言はあくまで他党が前向きに議論をするということであれば、憲法24条の改正案なども憲法審査会の場で議論をするべきということです」と発信した。自民党の改正案として示したのではなく、他党が提起してきたら憲法審で議論をしたいという主張だ。

■国民民主が同調

改憲論議に前向きな国民民主党が足並みをそろえた。玉木雄一郎代表が2日に「憲法で『両性』と書いていることを『両者』と書けば同性婚憲法上認められる。そういった議論も憲法の議論としてはあり得る」と表明した。同党は首相が名前を挙げて改憲への協力で秋波を送る党だ。今後、同党が改憲案をまとめた場合には、同性婚の容認が改憲勢力との結節点になるかもしれないと連想が膨らむ。

野党には同性婚を認めようとする政党が多い。6月には立憲民主党共産党社民党同性婚を認める民法改正案を提出している。それなら同性婚を認める改憲に乗り気かと思うが、そうではない。

下村氏の発言を受け、立憲民主党枝野幸男代表は「同性婚を認めることに積極的ならば、わが党の法案に賛同してほしい」と語った。共産党志位和夫委員長は「現行憲法のもとでできる」と述べた上で「同性婚まで改憲に利用するのか。改憲大義がないということを自分で言ってるようなものだ」と批判した。

改憲か法的措置か

公明党も党にチームを設け、同性婚を支持する方針を示すか検討中だ。改憲はどうか。北側一雄憲法調査会長は3日、記者会見で問われると「同性婚も含め憲法審査会で論議するのはいい」と話した。ところが「憲法24条は別に同性婚を排除しているものではない。これも議論していただければと思う」とも語った。

これは安倍首相が示した政府見解に沿った発言といえる。首相は15年2月の参院本会議で「現行憲法の下では同性カップルに婚姻の成立を認めることは想定されていない」と述べた。憲法制定時に同性婚の是非は想定していなかったと答えただけで、憲法が認めているか否かに言及していない。改憲が必要か、法整備で十分かの見解はないため、法整備でいいとも読める。

立民などが民法改正案を提出したのは改憲は不要という判断だからだ。2月には複数の同性カップル同性婚の実現を求め、各地の地裁で国に集団訴訟を起こした。「同性婚を法律で認めないのは憲法が定める法の下の平等に違反」と主張し現憲法での対応を求める。憲法学者の江藤祥平上智大准教授は「憲法を改正しない限り同性婚は認められないとする見解は憲法学では少数だろう」と話す。

■各国で合法化の動き 27カ国・地域で世界GDP5割超

2019年6月時点で、同性婚は27の国・地域で合法化されている。2001年のオランダを契機にベルギーやスペインなど人権意識が強い欧州が多い。イスラム教国が多い中東に加え、アフリカ諸国はほとんど認めていない。

アジアでは5月に台湾が初めて認めた。中国や韓国、東南アジア諸国では法制化していない。日本は2018年の政府答弁書で「認めるべきか否かは、我が国の家族の在り方の根幹に関わる問題であり、極めて慎重な検討を要する」と答えた。渋谷区や豊島区など20程度の自治体が認める条例をつくり「パートナーシップ証明」を発行しているが、法的な裏付けはない。

同性婚の法制化を求めるNPO法人、EMA日本によると、同性婚を認める国・地域の国内総生産GDP)は世界の52.7%を占める。同性愛者であることを公表している立憲民主党の石川大我参院議員は「優秀な海外人材がいても、同性婚ができないという理由で日本から台湾に拠点を移す人が出る可能性がある」と指摘する。

改憲こだわらず議論を

経団連は2017年、競争力の強化に向けてLGBTQ(性的少数者)対策を求める提言をまとめた。優秀な人材がLGBTQの場合、法整備がされた国・地域に移り住んでしまうとの懸念があるからだ。石川大我参院議員は「経済界の方が政府よりも危機意識は高い」と話す。

与野党間ではこうした議論は乏しい。改憲か否か、ばかりが話題になっている。上智大の江藤祥平准教授は「法律レベルの問題をわざわざ憲法問題と位置づけてまで、国民の注目を引こうというのは誠実ではない」と批判的だ。とはいえ、せっかく議論が起きた問題だ。この際、与野党憲法改正にこだわらず、法整備も含めて検討を始めたらどうだろう。「改憲ならいいが、改憲以外なら認めない」という理屈は筋が通らないはずだ。(黒沼晋氏)

同性婚実現も強まる反発 台湾

台湾で「性的少数者」(LGBT)の権利保護に取り組む関係者が危機感を深めている。5月にアジアで初めてとなる同性婚の合法化が実現したものの、保守派からの反発が強く、LGBTへの理解を促す教育を学校から締め出す動きも出てきたためだ。LGBTの権利擁護推進派は社会の理解を広げるため再結束を呼びかける。台湾が直面する理想と現実の落差は、同性婚を巡る議論が進む日本にも教訓になる。

9月末、台湾東部の花蓮。虹色の大きな布を手にした500人以上の人々が街を行進した。「花蓮にもLGBTがいることを知ってほしい」と訴えるパレードで、今年で9年目だ。

今回はテーマに中国三国時代の詩人・曹植漢詩から「本是同根生」との言葉を据えた。このエピソードは、異母兄から死につながる難題を突きつけられた曹植が、「同じ根っこから成長した私をなぜ追い詰めるのか」と訴える内容だ。主催者団体の秘書を務めた地元の大学生、楊永清さん(20)は「LGBTへの差別はなくならず、むしろ強まっている」と話す。

台湾では2017年5月、司法院大法官会議(憲法法廷)が結婚は男女間が前提とする民法の規定が、「婚姻の自由と平等という憲法の趣旨に反する」との解釈を示し、同性婚合法化の方向が定まった。

ただこれを機に「父母のいる家庭のあり方が破壊される」などの反対論が噴出した。保守派は、同性パートナーの権利は民法改正で結婚そのものを認めるのではなく、特別法で保障すべきだと主張した。18年11月に実施された住民投票では、保守派の提案が72%の賛成票を集めて可決された。

同性婚に前向きな蔡英文政権は19年5月、「同性間の婚姻関係」を認める新法を成立させた。民法改正は避けつつ推進派が望む「結婚」も認める折衷案だ。新法の名称には結婚を示す文言はない。20年1月の次期総統選に向け保守派に配慮をにじませたが、反発は収まらない。

同性婚の受け付け開始当日に結婚したカップル(5月、台北市内)

同性婚の受け付け開始当日に結婚したカップル(5月、台北市内)

「政権を取れば(新法の)すべてを撤回させる」。最大野党・国民党の立法委員(国会議員)、頼士葆氏は総統選に向けこう主張した。また同性婚などへの抗議活動を機に発足した新政党「安定力量」は9月、来年の総統選と同時に投開票される立法委員選に向け、10人の候補を擁立すると表明した。教育部長(教育相)のポストを狙うといい、LGBTへの理解を深める教育政策の変更を目指す。

台湾は若者を中心に同性婚に前向きな層も厚いため、極端な動きが実現するとの見方は少ない。ただこうした声が上がること自体が教育現場に影響を及ぼしている。

LGBTの子どもたちが悲鳴を上げている」。花蓮のパレードに参加した劉可婷さんはこう話す。LGBTに関する電話相談のボランティアをしているが、18年の住民投票などで保守的な論調がメディアをにぎわすたびに、「私は異常なのではないか」「社会から望まれていない」などの深刻な相談が増えるという。

台湾は04年に性別や性的指向に関する差別をなくすため「性別平等教育法」を施行し、小中学校で関連の授業の実施を義務付けている。ただ中西部・雲林県の中学校教師(36)は「多くの教師が消極的で、内容が形骸化している」と話す。「性認識が身体と一致しないのはおかしなことではない」、などの内容を積極的に教えれば父母から「子どもをLGBTにするつもりか」との抗議が出るからだ。

台湾はアジアで最も進んだ民主主義が根付くとされる。社会的マイノリティーにも寛容だが、世新大学の陳宜倩教授は「制度の進歩に一般世論が追いつかないゆがみがある」と話す。1987年に国民党独裁政権による38年間に及ぶ戒厳令が解除され、抑圧の反動で民主主義や人権保護に関する施策が急速に整備された。同性婚を巡る反発は、人々の理解が制度に追いついていない実態を示すという。

「課題は多いが、同性婚の実現は大きな前進だ」。同性婚の受け付け開始日である5月24日に同じ男性のパートナーと入籍した台北市の林玄さん(31)はこう話す。2人が働くケーキ店は結婚式などの特注品で有名だ。仕事などを通じ異性愛、同性愛を問わず交流の輪が広がり、6月にはこうした友人らを招き盛大な披露宴を挙げた。「時間がかかっても、理解を広げ違いを尊重し合うことはできる」と実感している。

26日には台北で毎年恒例のアジア最大級のLGBTパレードが行われる。今年のテーマは「私たちは良き隣人」だ。取り組みは逆風を受けつつも、新たなステージに進んでいるように見える。 

台北=伊原健作氏)

ボーイズラブ作家、一般文芸で注目 繊細な描写光る

男性同士の恋愛を描くボーイズラブ(BL)小説。ファン以外には知られざる存在だった作家が一般文芸作品を発表し、注目を浴びている。様式美の世界で培った繊細な描写力が強みだ。

「BLは少女漫画に構造が似ていて、最終的にハッピーエンドへと向かっていく。一般文芸ではそれを意識しない着地点が書けた」

BL作家として12年のキャリアを持つ凪良(なぎら)ゆうは8月末にBLではない一般文芸「流浪の月」(東京創元社)を刊行した。幼女誘拐事件がテーマで、長じた被害者と加害者が新たな人間関係を選びとる。きめ細かい心理描写を重ね、深い余韻を残す。

世間の常識から外れ、疎外される主人公たち。凪良は「BLと一般文芸、内容は違うが社会で受け入れられにくい人を書いているのは同じ」と話す。

発表前から注目され、見本を読んだ紀伊国屋書店梅田本店(大阪市)の小泉真規子氏は「BLを読まないので凪良さんを初めて知った。表面的な事実で他者を糾弾しがちな今の世に必要な物語だと感じた」という。同作に先駆け、2017年発行の既刊「神さまのビオトープ」(講談社タイガ)に着目し、販売に力を入れた。こちらも一般文芸で、夫の幽霊と暮らす女性が主人公だ。発売から2年を経て重版が決定。現在5刷と異例の売れ行きを示す。

「流浪の月」を大規模なPOPで紹介する書店もある(青森県八戸市の成田本店みなと高台店)

「流浪の月」を大規模なPOPで紹介する書店もある(青森県八戸市の成田本店みなと高台店)

12月にはポプラ社からも一般文芸作「わたしの美しい庭」が刊行される。編集担当の森潤也氏は「文章につやがあり、人の心を繊細にすくい上げる。BLにはこんな書き手がいるのかと驚いた」と明かす。

凪良に注目する編集者や書店員がそろって口にするのが「こんな優れた書き手がいたなんて」という未知の才能への称賛だ。かつて純文学、エンターテインメントなど細分化していた文芸のジャンルも今はあってないようなもの。そんな中、BL小説とその作者はいまだ熱心なファン以外には知られざる存在といえる。

BL小説研究家の永久保陽子氏は「運命的に結ばれる男性2人の恋愛物語という型があるために、業界以外からは目を向けられにくかった」と指摘する。一方で「同じ形式の話で読者を引き付けるには筆力がいる。BLの人気作家は本質的に力量がある」とみる。

崎谷はるひ榎田ユウリら「BL以外でも活躍する作家は以前からいる」と永久保氏。1990年代半ばにデビューした木原音瀬(このはらなりせ)は代表的な存在だ。06年に出した冤罪(えんざい)で刑務所に服役中の男と、同房の男の間に芽生える愛を描くBL作品『箱の中』が、12年に講談社文庫に入った。一般文芸の編集者からも注目される。木原は「一般文芸では恋愛が中心じゃない話が書けるのではと、かねて興味があった」と話す。

その後、小児性愛がテーマの「ラブセメタリー」(集英社、17年)、嘘つきの少女や虫を食べる優等生を主人公に人の二面性を暴く短編集「罪の名前」(講談社、18年)といった一般文芸作品を相次いで出した。集英社の担当編集者の栗原清香氏は「マイノリティーやタブーを描く角度が独特で、ジャンルに収まりきらない人」と高く評する。

振り返れば「グイン・サーガ」シリーズなどのヒットメーカー、栗本薫はBL小説の先駆けといえる存在だった。SFからホラー、ミステリーと多彩な作品を手掛け、マルチな才能を発揮した。

永久保氏は「BL作家の一般文芸進出は、宝塚歌劇出身者が芸能界で活躍するようなもの」と例える。固定ファンに支えられて独自の世界観やテクニックを磨きながら、いったん外に出れば「実力派」として高く評価される。

より大きなフィールドで才能を発揮するBL出身作家たち。読者にとっても新鮮な作品が続々と生まれている。

(桂星子氏)

LGBTに生殖医療実施 指針想定外、4施設で 岡山大調査

三者精子による人工授精や自身の精子の凍結保存といった生殖補助医療を、国内の4施設がLGBT性的少数者)のカップルに実施していたことが6日、岡山大の調査で分かった。

学会の指針はLGBTがこうした医療を受けるのを想定していない。家族のかたちが多様化する中で子どもを持ちたいと希望するカップルは増えており、どこまで認めるのか議論が必要になりそうだ。全国規模でLGBTへの生殖医療の実態が明らかになるのは初。

LGBTカップルが生殖医療を使って子どもを得るには、性別適合手術を受ける前に自身の卵子精子を凍結保存して使ったり、第三者から提供してもらったりする必要がある。しかし日本産科婦人科学会などの指針では、こうした医療は原則としてがんの治療で生殖機能に影響が出る恐れがある人や戸籍上の夫婦に限定している。

岡山大の中塚幹也教授らは昨年12月、同学会に登録する公立病院や民間クリニック1131施設を対象にLGBTの生殖医療に関する実態を調査。492施設が匿名で回答した。

ゲイのカップルが代理母の利用を求めるなど、LGBTの当事者が生殖医療を求めて来院した例は延べ41施設であった。

実施したことのある生殖医療の内容は、「第三者が提供した精子レズビアンカップルのいずれかに人工授精した」が2施設、「(性別適合手術を受けて精巣を除去する前に)体は男性で心は女性の人の精子を凍結保存した」が3施設あった。子どもが生まれたかどうかは不明。

58歳、性同一性障がい セカンドステージ

わたくしこと瑚心すくいは音楽が得意といえば得意です。

どんな事ができるかというと、ポップス曲の作詞・作曲とコンピュータで編曲をして楽曲として仕上げるところまでです。

自慢ではありません。その代わり英語も算数も国語も理科も社会も赤点ばかりの馬鹿です。本当に人生の歩み方も言えたものではありません。

 

ただ大学時代にコンピュータのプログラムと出会ったのが切っ掛けで興味がそっちへ行きつつ音楽制作もコンピュータでするようになりました。

そして時代背景もコンピュータミュージックは徐々に大衆化していきました。

そこからです。

その時代の波に乗る勇気がなく、音楽教室の営業を20年近くしました。

最後は上司のハラスメントでうつ病になって仕事を辞めました。

 

結婚も2度失敗しました。

私は性同一性障がいというものは、克服できるものだと考えていました。

だから女性との結婚にためらいはなかったのです。

 

だけど、自身のこころが女であることを消すことはできませんでした。

かと言って、それをパートナーにいう勇気も責任感もなかったです。

 

それも2度も機会がありながら、自分が性同一性障がいであることを告白できなかったのです。離婚するときに親友たちがすごく心配してくれたのに言えなくて。

最低ですよね。

 

でも、ある時思ったのです。

仕事でも性同一性障がいであることを職場で言わなければ、

私はこの世に生きている意味がないのではないか、です。

 

周りにいる人すべてにです。

私は45歳を境に髪の毛を長くし、性同一性障がいであることを告白しながら

就職活動を行いました。

全ての企業に断られました。

 

でも男性の姿では意味がないと思ったからです。

あとは服でした。化粧でした。スタイルでした。

服は通販で手に入れ化粧品は100均で何とか揃えました。

 

しかしよく考えて、その時代に女装はインパクトが強すぎると思い、まずは髪の毛を伸ばして就職活動をしたのですが、男性が長髪では営業は困る。接客は無理。事務所の雰囲気が悪くなる、などと言われ続けたのです。

 

そして、とうとう。

生活もあるので一度髪の毛を切り男性として就職活動をして、すぐ新しい職場である大阪狭山市の公民館についたのです。情けなかったです。

そうして性同一性障がいを言わずにパソコン講師をしながら「人権」を市民に理解していただく企画をする担当で暮らしました。

 

そこから週末の夜は女性に変身して夜の繁華街まででかけることを繰り返しました。空しいですけど、それが精一杯でした。それともう一つ相手が男性には興味がなかったです。自身が女性であることが一番大事なことだったからです。

 

でも、仕事もやりがいができてきて、しばらくはこんな生活を続けました。そして、それは本当は意味のないことにも気が付き始めました。

今の時代、正直に女性として言えなければ意味がないことに。

 

もう駄目でした。52歳でした。そこから女性として生きる?

自問自答しながら、結論は「無理」。

そしてうつ病でもらっていた薬を大量に飲み自殺を図りました。

 

死ななかったです。

 

母親を泣かす馬鹿な奴です。

 

入院で体と心が回復するのに1カ月かかりました。

その間に十分に考える時間はありました。

一度は死んだ私だと考えたとき、生まれ変われるんじゃないかと思ったのです。

 

職場の上司に性同一性障がいであることを告白し、父と母にも手紙を書きました。

上司は理解を示して下さり、やりやすくするために別の新しくできた現場に転勤をさせ、女性として働くことを同じ時期に揃った新メンバーにカミングアウトをし生まれ変わることになりました。

今でも当時の職場の仲間には感謝しています。そんな私を受け止めてくれて後押しをしてくれました。ある来館者の方が「あの人、男やのになんで化粧してるの?」職員「彼女は心が女性なんですよ」って。

 

今は女性として24時間過ごすのが普通です。女性ホルモンの注射も10年以上打ち続け胸はきれいに膨らみ(その分お腹も出てきてしまいました( ^)o(^ ))

 

私は音楽教室の仕事の時からコンピュータを使わされ色々なデータ分析やチラシ制作などを経験し公民館ではおかげでパソコン講師をしました。

 

人生残された私は女性としてプログラマーになり、それを利用して「生きづらさを抱えている人」を支援することを考えていきたいと思っています。

 

2010年に調べて分かったのです。日本人の過労自殺が多いことを。女性の社会進出によって女性の生き方がより多様になっていくこと。

 

58歳、まだまだやらなければならないことが沢山ある。

セカンドステージは既に始まっています。

 

 

LGBT働きやすく ハラスメント禁止に

社内や飲み会の場で、何気なく口にしたウワサやからかいの言葉が性的少数者LGBT)を追い詰める「SOGIハラスメント」が問題になっている。5月には職場でのパワーハラスメント防止を企業に義務付ける関連法が成立し、LGBTへの差別的な発言や嫌がらせなどSOGIハラへの対策も盛り込まれた。先行して対応する企業は少数派だ。多様な人材が働きやすい環境をつくる対応が問われている。

「お前ってアッチなんじゃないのか」

都内で会社員をしていたゲイの男性は飲み会のたびに、しぐさや容姿などを同僚や上司にからかわれていた。仕事に不満はなかったが、からかわれるのがつらくなり、男性は退職した。LGBTに関する法制度に詳しい寺原真希子弁護士は「悪意や敵意がなくても明確なSOGIハラだ」と指摘する。

SOGIハラとは、恋愛感情や性的関心が向かう先を示す性的指向(Sexual Orientation)と、自身が認識する性別を示す性自認(Gender Identity)の頭文字にハラスメントを付けた造語だ。性的指向性自認に関する差別的言動やいじめ、暴力などを指す。

5月に成立したパワハラ防止関連法の付帯決議には企業はSOGIハラに対策をとることが盛り込まれた。対策を講じない企業は厚生労働省から勧告を受ける可能性がある。

早ければ大企業は2020年4月、中小企業は22年4月にも防ぐための措置を義務付けられる。具体的な内容は今後出る指針で明らかになる見通しだ。専門家の間では「男女雇用機会均等法のセクハラ指針と同様のことが記されるだろう」(寺原弁護士)と考えられている。例えば就業規則の改定や、研修などでSOGIハラを防ぐための方針の周知や啓発、相談窓口の設置といった相談体制の整備、被害者へのケアや再発防止策などが想定されている。

これまで日本企業のSOGIハラ対策が取りあげられることは少なかった。被害を訴えることが自身の性的指向性自認を明らかにするカミングアウトに通じてしまうため、二の足を踏むケースが多いためだ。「会社が設けた窓口に相談がないから『ウチにはSOGIハラはありません』と主張する担当者がいますが、大きな間違い」と独立行政法人労働政策研究・研修機構の内藤忍副主任研究員は話す。

日本労働組合総連合会(連合)の調査によると、職場で約2割の人がLGBTに関する差別を見聞きしたと答えている。被害者は誰にも相談できず退職してしまうことが多く「経済的損失は大きいのに、対策の重要性を認識している人が少ない」(内藤氏)。

SOGIハラ防止には、きめ細かな配慮が求められる。LGBTの視点で、社内の制度を改めて点検する必要がありそうだ。例えば、同性カップルでも異性婚と同様の福利厚生手当を認める制度を設けている企業では、パートナーを同僚や上司に紹介することを手当を受ける条件としている場合がある。寺原弁護士は「不正な受給を防ぐ狙いがあると考えられるが、不必要なカミングアウトを強制しているとすればハラスメントにあたる」と指摘する。著名企業でも徐々に同性カップルにも様々な福利厚生手当を認める事例は増えている。ただ利用を表明するカップルは数少ないのが現状だ。

LGBT

カミングアウトを避けたい社員が利用しやすい制度をどう整えるか。アクセンチュア人事部の東由紀シニアマネジャーは「日本社会ではカミングアウトのハードルが欧米と比べても高い。実態を考慮した制度作りが必要」と話す。同社では自身の性的指向などを明らかにせずに人事制度や福利厚生の問い合わせができる。対応するのはヒトではない。ボット(AI=人工知能)だ。

日本オラクルでは、性的少数者が福利厚生制度を利用する際に最低限の情報開示で済むようにしている。例えば結婚祝い金を受け取る場合などは、人事部の担当者に伝えるだけで直属の上司には伝える必要がない。

日本たばこ産業JT)は、社内のハラスメント防止ガイドラインLGBTに対する差別的な言動を禁止することを明記している。常に受講できるオンライン講座も用意し、受講した人にはLGBTを支援する人だということを表すステッカーを配る。若手を中心に自主的な勉強会も開かれており、社内での理解が進んでいるという。人事部の多田羅秀誠次長は「様々な価値観を受け入れる雰囲気が社内で根付いてきた。新たなビジネスを生み出すことにもつながる」と話す。

企業にとってSOGIハラ防止の対応は就業規則の改定や相談窓口の設置といった「形式的な対応だけであれば難しくない」(寺原弁護士)。だが、本当に求められているのはLGBTの人々も含めて多様な人材が自分らしく働きやすい環境を提供することだ。予期せぬ人材流出を防ぎ、成長し続けるために必要な条件となりつつある。

(渋谷江里子 氏)

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